NPO法人秋田スポーツPLUS~こどもたちの毎日にスポーツをプラス!~

秋田のスポーツの「今」と「これから」が見える『加藤光平備忘録』 vol.4

ASP-Newsvol7

地域における補助スクールの役割

来春から中学生を対象としたジュニアユースチームが立ち上がる事となりました。これまでキッズ、ジュニアを対象にスクールの形態で進めてきた補助スクールから、JFA登録のチームとしての活動を1つ加える事は大きなチャレンジとなります。これまでも、何度も、何度も、それはそれは何度も「小学生のチームやらないの?」「アカデミーのメンバーでそのままジュニアのチームやって欲しい」など、スクール生のご家族やサッカー関係者の方々から声を掛けられる機会が多々ありましたが、その都度一貫してジュニアチームの立ち上げは行わない旨を伝えてきました。

スクールの存在意義は「チームで活躍してもらう為」「チームにおける個のパフォーマンスに寄与する為」という位置付けであり、特にアカデミーに関してはセレクションも行い、一定水準のレベルを担保した中で選手同士が高め合う環境を提供し、全県のトップレベルの選手に成長していく場所、全県のトップレベルの選手が集まる場所にしていこうと立ち上げ、ここまで進めてきました。

他方、U12スクールについてはまた別の意義を持っています。U9スクールを立ち上げてからは、幼児から低学年の層に対して早期からスポーツに触れる機会を作る事が出来ましたが、その後となる4年生以上の、より専門性が高まる年代のところでサッカーを辞めてしまったり、スポーツから離れてしまう現象が目の前でずっと続き、それまではジュニア年代の各チームに対しての影響の懸念からなかなか踏み切れずにいたU12でしたが「スクールが3年生で終わりだし、その続き(U12)がないからウチの子はサッカー辞めるしかない」といったお話も例年続いた事で、それを聞く度、僕の頭の中では「あんたが続き作らないからウチの子はサッカーやらないしスポーツから離れるんやで!」と脳内変換されていたので(笑)U12スクールを思い切って開始しました。

現在U12は46名の選手が参加してくれています。その内、チームに所属しながら参加しているのが33名、スクールのみという選手は13名です。もしスクールがなかったならばサッカーを辞めていた選手が13名いたと考えると、この13名というのは少なくない数字だと考えます。また、市内のサッカー協会4種登録チーム数でこの13という数字を割ると約0.5と1人以下となるので、地域のチーム登録者数にスクールが与えているマイナスの影響はほとんどないというのが数字上のファクトです。

現在のASPとしてはむしろ、チームに所属しながらスクールでも補助的にサッカーを高めている選手の方が多数であり、チーム所属を条件として活動しているアカデミーの29名を加えると実に62名もの選手がチームに所属しながらASPに通い、レベルアップを目指しています。チームとスクールによる共存・相乗効果のモデルが1つ出来ていると言っても相違ないと考えます。

少子高齢化、人口減少が止まらない中、団員・クラブ員減少はどこも深刻な問題ではありますがそれは他責ではなく自責。何もしない、すべきことをせず努力しない、例年通りの年間計画と予算と会の運営をただ無難にこなして翌年に繋ごうという活動では衰退の一途を辿ります。動くか否か、行動で抜け出せるかが、各団体ともより一層求められてくると思います。

ジュニアユース立ち上げの経緯

ジュニアユースに話を戻すと、こちらはジュニアの話とは全く異なる、完全なるチームです。大会に出場し、勝敗を伴う活動となります。

まず、ジュニアユースを立ち上げるというイメージはいつからあったかと言うと、正直なところかなり前、何年も前からありました。それは、言わずもがな僕が「中学生教えたい~」というものではなく「むしろ・・・」と思っているくらいなのですが、中学へ進む際、そして中学へ進んでから、この入り口のところと行った先のところで沢山の問題があり、卒業生が悩みを抱えている事を毎年毎年毎年聞かされる中で、何年も前からそこの課題解決として「1つの選択肢を作る事は出来ないか」そんなぼんやりとしたイメージがあったということです。

しかしながら、今現在担っているものと、新たに起こるものを今のまま進めるのは能力的に時間的にも不可能であり、また、現状の公共施設では施設数、利用状況、他、安定的確保の見通しは全く立たない為、ジュニアユース立ち上げはまずホームグラウンド無くして進まない状況でした。加えて指導者の確保無くして進まない。ハードとソフトの両面をクリアしなければ出来ない為、心の片隅にあり続けた数年間でした。

これが少し動き出したのがこの2年程でしょうか。みんなの体育館やばせという今や我々としてはインフラ化している屋内施設が誕生。ここでの成功体験が次の「フルサイズ人工芝グラウンドを」というモチベーションと、そこでの成功イメージを育んだことは間違いありません。ある時は商業ビルや某販売店の新社屋の屋上に上がり、ある時は企業用地へ、田んぼのど真ん中へ。売りに出されている森の空き地ではキツネに遭遇し、また別の場所では測量時に草木のトゲで手に血傷を残しながら。

などなど、もっと何年も前の自分1人でこうした企業訪問をしていた頃も含めれば、相当な数のプレゼンと不法侵・・じゃない、企業訪問をしてきました。倉庫案件で相手の社長さんにプレゼンしてお願いしたこともありました。エネルギー関係の会社が所有する野球場について交渉したり、広大な土地を有する企業の一部借用をお願いしたら地中深くにまだ戦時中の不発弾が埋まっている可能性がある為、撤去にまず数億円かかると言われた事も。

とにもかくにも、僕のような人間が1人で一軒一軒ノックして交渉していたら一生かかっても実現しなかったであろうグラウンドの創出が、力ある素晴らしい方々のご協力と思いによって一気に実現の方向に進む事になりました。

スクール生からは既に中学進級後の進路についいて「どこどこを受けます」「チームはここにしました」など報告が出始めた残暑の頃、フルサイズ人工芝グラウンドの新設について目途が立ち、そこから一気に慌ただしくなってきました。ほとんどの6年生にとって方向性はおおよそ定まってきたタイミングだったので不要に迷わせる事をしたくないという気持ちと、本来であれば1年以上前から綿密に準備を進め、十分な考慮の時間を提供するような早期の情報提供があってしかるべきとの考えていたので来年春には間に合わないイメージでいましたが、ホームグラウンドの目途が立った事で一気に動き出す事になります。まさに8月末のことです。

来春からスタートする事がベストなのか、むしろ良くない事なのかを何度も迷いながらこのプロジェクトに対する周りの後押しと期待も感じましたし、選手の中には進路選択にあたり不当な扱いを受ける事例もあり、そうしたことが携わっている選手に起ころうとする中で、目の前の選手をスルーしてただただ「良い準備を」と、安易に後ずらしするのは自分の中ではどうしても納得できず、まずはやってみようと。

もちろん、こうした課題解決やネガティブなところだけをフォーカスして立ち上げたわけではなく、日頃、別チームで活動しながらもASPの中で素晴らしい研鑽を重ねているこの選手達のサッカーをチームとして表現する場を作りたい。そして、秋田の選手の進路問題に対して、選手が思い切りチャレンジし、もしそこでダメでも秋田のベストと言える最良の場所を用意し、次の高校やその先に向けての助走として最高の3年間にしてもらう。そんなチャレンジと成長の場を作りたい。その気持ちもありました。

今回のジュニアユースは、長らく事業のパートナーとして共闘してきた秋田キャンパス21の佐々木塾長と、これまで10年近く意見を交わしてきた大きなプロジェクトです。秋田で断トツで突き抜ける程のサッカーにおける活動と、選手の豊かな将来を形成する為の本気学習のセット提供。口だけではない本気の文武両道の体現がこのジュニアユースのコンセプトです。

要項にはこう記しました。「本気の文武両道に挑む3年間」これが我々ASPとしての活動の在り方となります。

お伝えしている通り、予定を大きく前倒ししての設計の為、まだ不確定な要素が非常に多い今回の立ち上げ。ここへ飛び込む選手・保護者の皆さんにとっては不安な部分が多々あったはずです。そんな中、8名のアカデミー生が来春からこのチームでプレーすると回答。秋田県で活躍する競技力の高い選手達がしっかりと固まってくれた事で、まだ姿も形も無い、不確定要素だらけの新規立ち上げチームにも関わらず、素晴らしい選手達がセレクションにチャレンジしてくれ、アカデミー生と一般選手が融合した記念すべき1期メンバーが固まりました。来年からの立ち上げ可否決定前、アカデミー生達にはこう伝えました。

「このメンバーと、あるいは新たに加わる仲間とどんなサッカーが表現出来るか想像してもらいながら、是非、コーチ達と一緒にこの新しい挑戦に挑んでもらえたら嬉しいです。新しい人工芝グラウンド、新しい施設、ジュニア時代は一緒のチームではなかったアカデミー生達が、そこで大好きなサッカーと、大切な勉強に3年間思い切り打ち込む。細かな不安も沢山あろうかと思いますが、どの選択肢よりもベストであったと思ってもらえるようにコーチ達は努力し続けます。この新しいプロジェクトに是非飛び込んで来てください!この秋田に誰も見た事の無いものを作りましょう! 」

決まっていない空白の所は、これまでの我々の姿を正にジャッジし「こうなるだろう」と想像力で埋めて欲しいと説明しました。結果1人もこない可能性もありましたが(苦笑)「どうせまたこんな感じにしかならないだろ」と思われたら、その空白の部分はプラスどころかマイナスにもなるわけで、結果的にこの点においては評価を頂いたと過信はしていません。期待を込めて「その決まっていない空白の部分で私たちをワクワクさせて下さい」とプレッシャーをかけられたのだと僕の中では認識しています。

親御さんは一定以上の期待と信頼を寄せてお子さんをこの新しいチームに預けて下さった。この思いに対して、今現在、日々全力で進めています。実感、ジュニアユースの立ち上げというのはやはり想像を遥かに超えるものがありました。立ち上げ決定までの日々もそう、来年春の立ち上げまでの日々も含め、おそらく一生忘れられない時間になるのだと思います。良い準備をして、滞りなく新年度を迎えられるように努めて参ります。春まで全力で突っ走ります。

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