サッカー少年たちにとって最大の目標大会であるU-12選手権大会が閉幕しました。昨年秋に開催されたトヨタジュニアカップに続き八橋スポ少が優勝。魁星旗と全日本を優勝した昨年の飯南を彷彿とさせるスポーツ少年団チームの躍進が印象に残る1年となりました。今回も決勝、準決勝という4強のピッチに多くのASPスクール生が立ち、鹿児島で行われる全国大会に今年も沢山の選手が参加出来る事となりました。昨年から続く感染症の影響により、選手達のスポーツ現場においても「延期」「中止」「自粛」など様々な制限があった中で、非常に難しい活動を強いられてきたこの2年間。その中で1チームにしか許されない全国大会出場という最良の結果を掴み、新たな体験を得られる八橋の選手達は本当に幸運です。12月の全国大会、沢山の経験と成果を掴んできてもらいたいと思います。U-12選手権大会の閉幕により全ての主要全県大会を終えた4種年代。ここ数年の流れを読み解きながら今シーズンを振り返ります。
同じ土俵での戦いコロナ禍により強化の差異がなくなる
昨シーズン、今シーズンと2年間にわたりコロナ禍で影響を受けたジュニア年代の選手達。この2年間を振り返るとファーストインパクトとなる昨年春の学校休校が最大の影響であったと思いますが、ジュニア年代、コロナの影響を受けながら2年間過ごしてきたという意味では今の6年生年代もまた昨年以上に影響を受けた学年であったと言えるのかもしれません。
全国大会の中止、東北大会の中止、県内でも全県大会となる魁星旗が延期となったり、他にもローカルの各種招待試合などもその多くが延期・中止を余儀なくされた事と思います。
今年に関しては1年のほとんどが県外遠征自粛となったでしょうし、この年代の強化・育成という観点で見ると非常に厳しいシーズンであったと思います。
通常、スポーツ少年団においては、毎月のように県外遠征に出て行くという事は稀だと思います。中には頻度高く遠征されるチームもあるかもしれませんが、基本、親の会が存在するスポ少では決議による意思決定である為、選手の強化の為だからと言っていくらでも出ていけるわけではありません。むしろ例年のルーティンとなる年間計画を粛々とこなし、その中で予算も含め先輩方から引き継いだものを翌年の後輩にもしっかりとバトンしていく事が良しとされます。中にはソックス1つ揃えるだけで揉める事例もある程なので、強化日程の構築は非常に難しいのがスポ少であり「昨年よりも少ない繰越は避けたい」こんな精神が活動の細部に及んでいるのが実態です。
他方、クラブチームに関しては基本的にクラブが決定した方向性がそのままダイレクトに強化日程としてスケジューリングされるので、県外遠征等を通じ、質の高い経験を積みやすいなど、このあたりが大きな強みと言えます。その為、費用面で負担が大きくなる傾向にあったり、直前までスケジュールがわからない、急な変更が頻繁にあるなど、クラブ主導ゆえのデメリットもよく聞かれますが、強化という点においては優位性が高いと言えます。試合が選手を成長させるという意味で、県外の厳しい試合、レベルの高い選手達との経験が選手を大きく成長させ、県内の大会における成果に結びつくのは周知の事実です。
強化日程が毎年しっかりと組める。クラブチームが上位に居続ける1つの要因はこの良質な強化日程であり、クラブチームのストロングポイントと言えます。しかし、各クラブともこの2年はその遠征が出来ない状態となり、試合による強化日程というここの差異が作れなくなりました。コロナ前の全県大会ではブラウブリッツ、グロースFC、スポルティフなどクラブチームが全県優勝している中、ここ直近の5つの全県大会では内4つをスポーツ少年団が制している事から、こうしたところにもコロナの影響が1つ出ている気がしています。
もちろん、今日の状況は誰にとっても等しく影響を与えているもので、どの選手にも少なくない影響があるわけですが、チームの強さは「選手構成」「強化日程」「指導者」「サポート環境」により決するので、その内の1つである強化日程の部分への影響はやはり大きかったはずです。ここが無くなり、どのチームもある程度同じ条件、同じ土俵の上で競い合う状況となったことで、スポ少チームにもチャンスが巡ってきている状況だと考えられます。もちろん、そのチャンスを掴むには並々ならぬ努力が必要であり、セレクションチームや自チームの何倍もの選手を抱えるようなチームを上回るだけの競技力を作り上げるのは並大抵の努力では到達出来ないはずです。
この10年の間、全日本少年サッカー大会秋田県大会でスポーツ少年団チームが続けて優勝した事はありませんでした。どれだけ強くても、勝率が高いチームであっても、目標の大会のそのタイミングでしっかりとピークを持ってきて、ノックアウト方式の中で勝ち続けて結果を出す事は奇跡のような作業です。優勝候補であることが全少での優勝を確約してくれるわけではないし、それまで負けた事のない相手に負けることだってあれば、PK戦もあります。ピッチコンディションや天候、特に今回は例年の舞台であったスカイドームが使用できないなど環境面でのイレギュラーもありました。全国大会出場の1枠を掴む事は本当に難しい奇跡的な事象です。現6年生を対象に開催された主要全県大会(トヨジュニ魁星旗、全少)の3大会の内、魁星旗が開催されなかった事で、結果2大会中2つを八橋スポ少が制する結果となりましたが、八橋スポ少は年度中に開催された他の大会において、その全てを優勝したわけでも、群を抜いていたわけでもなく、むしろ勝ち負けを繰り返す苦しい時期も多かったはずでしたが、昨年、今年と秋のこの勝負所でキッチリ結果を出しました。
選手・指導者・ご家族の三位一体、チーム八橋で努力し、培った勝負強さが光った今シーズンだったのではないでしょうか。
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