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【決勝戦レポート】第45回JFA全日本U-12サッカー選手権大会秋田県大会

ASP-Newsvol7

 
 

2年に及ぶコロナ禍の中で集大成で掴み取った優勝

第45回JFA全日本U―12サッカー選手権大会秋田県大会決勝、通称・全日本が10月24日(日)雄和の県立中央公園にて行われた。余談となるが、同大会、秋田では「全日本」と呼ぶ関係者が多いが、他県では「全少」の方が多数。最悪の場合「全日本、全日本」と言っても通じないことも。 
 そんな全日本、全県優勝したチームは12月に鹿児島で行われる全国大会への出場権が与えられるジュニア年代最高峰の大会となる。
 決勝に駒を進めたのは八橋スポ少とスポルティフ秋田。例年と異なりピッチコンディションや天候に大きく左右される難しい大会であったが、その中でしっかりと結果に結びつけて勝ち上がってきたファイナリストに相応しい両雄だ。
 試合は序盤から激しい展開。1つ1つのプレーの強度が高く、1つのミスでスコアが動きそうな緊張感のある立ち上がり。そんな中、八橋のエース・原田のゴールで試合が動く。昨年、八橋がトヨジュニを制した際と同じくエース原田の先制点で勢いに乗る。ショートコーナーで2vs1を作り、原田がドリブルでカットインをして相手DFを引き出す形は大会中多用していた形。ドリブルでBOX内へ侵入し、対応に出てきた相手選手に対してキックフェイントから更に深く侵入。右足を一閃し無回転で放たれた強烈なシュートが逆サイドネットに突き刺さり、待望の先制ゴール。全国を争う重要な決勝戦でキッチリゴールを奪うエースとしての強さを見せる。対するスポルティフもFWのエース10番の個人技を中心に打開を試み、シュートを重ねる。サイドの斉藤(5年)が起点となり、前半は右サイドを中心に攻撃を展開する。対する八橋はDFラインからFWの原田と5年生FW高橋の2人へ当てる展開や、安宅・魚住の両サイドが高い位置で起点となり、そこからの打開やショートカウンター、更には大きなサイドチェンジなどグラウンドを大きく広く使う展開力で相手を揺さぶる。
 データで紐解くと、試合が進むにつれて八橋がポゼッションやパス成功率を向上させ、チームとして試合にフィットしていくのに対し、スポルティフ秋田は前線のエースへの供給という明確なサッカーにシフトしていく事でゴールという目標に対して最短距離を目指すサッカーに変化。エースの個を起点に相手に脅威を与えていく。一進一退の攻防が続いたが後半4分、八橋のストロングであるサイド攻撃による大きな展開から待望の追加点が生まれる。競り合いを制した左サイドMF安宅がまた抜きでの縦突破。加速してハーフラインを越えると、逆サイドから駆け上がってきた右サイドMF魚住の位置を視野に入れ、ピッチを横切るサイドチェンジ。相手守備選手もタイトに寄せ、それにより1stタッチが大きく乱れ、難しい角度と距離からのシュートとなったものの、ゴール方向に振り抜いたシュートはGKの手をかすめゴールネットへ。結果的にこのゴールが決勝点となり、スコア2―1で八橋スポ少が見事優勝。全県の頂点に輝いた。
 優勝した八橋スポ少は12月26日~29日鹿児島県にて行われる全国大会に秋田県代表として出場。全国大会の組み合わせは11月30日に発表される。

 昨年の選手達がそうであったように、今年の選手達にも新型コロナウイルス感染症の影響は非常に大きかったと感じる。コロナ禍に突入してから2年が経過する中、影響を受けた期間が長いという意味でいくと、この年代の選手達は昨年以上にビハインドな環境の中でサッカーをしてきたとも言える。
 遠征などの強化日程は自粛となり、勝ち上がって掴んだ東北大会・全国大会等の上位大会も一部中止に。失われた真剣勝負の舞台は少なくない。
 そんな中、ジュニア年代にとって最大の目標であるJFA全日本U―12サッカー選手権大会(以下、全日本)が予定通りのスケジュールで開催された。ジュニア年代最大にして最高位の大会であり、全国大会に繋がる大会であることや、前述の通り、他の大会がいくつも中止してきた事もあって、6年生達にとっては、例年以上に強い思いを寄せて臨んだ大会であったに違いない。
 昨年は単一スポ少である飯島南スポ少が同じくコロナ禍の難しいシーズンにありながら全国大会出場の切符を掴み取り、歓喜の涙を流した。ASPとしても昨年の両チームにスクール生が多く在籍しており、日頃から切磋琢磨している仲間たちが全国大会出場の一枠を争いファイトした姿は今も尚、鮮明に脳裏に焼き付いている。試合後、勝者・敗者と結果が決した際には互いに涙を流しながらそれぞれを気遣い、声を交わす姿があった。スタンドで見ていた誰もがその光景に感動を覚えた事と思うが、彼らと日頃から時間を共にしているスクール生や我々指導陣にとっては他の人達とはまた異なる深さで感じるものがあった。昨年のそのスタンドには同じスクール生でもあり、今回優勝の切符を掴み取った八橋スポ少のメンバーも多くおり、現地でその光景を見て、来年の自分たちの姿を想像していたに違いない。八橋スポ少キャプテン・原田の試合後のコメントからも、昨年のスタンドで見た全日本決勝は、他所のチームの勝敗というレベルには留まらない、大きなインパクトであった事を窺わせた。

データ比較で決勝を紐解く

全体的な印象としてはタイトで強度の高いゲームであった。ハイボールの処理、1vs1の守備対応、コンタクトプレーなど決勝戦に相応しい、どの選手もすべきことをしっかりとこなし気持ちの入ったプレー。八橋は前線でタメを作れる2人のFWとサイドを絡めたピッチを広く使う展開力、スポルティフはエースFWへの供給とこぼれ球などへの2列目の絡みからゴールを目指す。八橋は時間の経過とともにゲームにアジャスト。後半にかけポゼッションやパス成功率を上げていき、強みである展開力がより強く数字に表れる。対するスポルティフはエースへのダイレクトな供給から最短距離でゴールを目指すサッカーにシフトしていきシュート本数を増やす。全体的に拮抗した内容であった事が数字にも表れているが、両者の特徴が試合終盤にかけて色濃く出た決勝戦だったようだ。


 

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