加藤光平 備忘録 vol.6 [2022年5月号]

vol9

家族あっての仕事、バランスが大切

前途多難の令和4年度は、SNSでも、この備忘録でも声を大にして叫びたいことが山程ありますが、とにかく内に秘めてここまで来ました。いまだ現在進行形です。現在は早急に業務改善を試みている最中で、学童でもスクールでも「例年よりアップデート」を目指して新年度設計をするので「例年通り」は「例年以上」になっているし、それに加えてかつてないボリュームのチャレンジをしたので、実質、見事な崩壊をしています。

それでも歩みを止めずに進められているのは、今のこの活動に直接的に関わってくれているスタッフと、活動を応援して下さる沢山の方々の存在のお陰であり、そうでなければとうの昔にバーンアウトしていました。

それでなくてもコロナウイルス感染症による影響で1月末からは2ヶ月に及ぶ活動ストップ。コロナウイルスが流行りだして最初に起こったあの全停止(学校から何から全ての活動が止まった1回目の停止)に匹敵する2回目の有事が今回で、今年に入ってからの数ヶ月に及ぶ試練の期間はもう本当に長過ぎて息絶える寸前でした。

そんな有事の時だからこそ透けて見えてしまう「まず自分」という人とそんな中でも他者を気にかけて行動したり、声を掛けて下さる人。この後者の方々にこの事業全体、自分自身も助けられた数ヶ月でした。いろんな人が居るんだなと感じたこのコントラストは一生忘れられないです。

別件、先日こっそりラジオに出演した際、家族に聞かれてしまい(通常こうした放送等は知り合いや家族には内緒にする加藤)帰宅するなり妻からホラー級の背筋が凍るような一言を言われ・・要約すると「沢山サッカー頑張って子供たちの為に大変良い事ですね。随分雄弁に語ってらっしゃいましたが、この家は今どうなっておりますか?」といった内容の事をもっと短く、とても厳しい言葉のチョイスで浴びせられ・・こうなると、ラジオでの語りが雄弁であれば雄弁である程、傷口は広く・・・引き続きこうした機会は妻にだけは絶対知られまいと思った次第です。ですが、まずは抜本的な働き方改革をしなければ明日の命は無い加藤、5月・6月日程を思案中です。

ジュニアユースに関しては何とかこの新年度に合わせ、ユニフォーム、マイクロバス、運営体制含めギリギリ目途がつき活動を開始することが出来ました。先日、記念すべきチーム1試合目の公式戦が行われ、この数ヶ月はこの開幕戦に向けてあらゆる準備を進めてきたわけなので、しっかりとチームが出来、滞りなく試合を行い、そして勝利で終えられた事をとても嬉しく思います。今年、U15は中3年代ひしめく「すぎっちリーグU15」と同年代のU13年代が激突する「すぎっちリーグU13」の両リーグを戦います。先日の開幕戦はU15のリーグ戦。4ー2と勝利したものの、この2失点は11人制フルサイズ規格となる中学年代のサッカーの難しさを痛感させられる象徴的な失点で、まだまだこの年代のスケールにフィットしていない印象を受けました。選手達の発育発達に加え、それ以上の速度で彼らのサッカーの成長を促し、成長曲線を描いていかなければなりません。

自分がジュニアのチームを指導していた頃は毎年中1~中2とのトレーニングマッチを組み、1学年差~2学年差のゲームを体験させる機会を作っていました。ここでもよく取り上げる秋田と全国トップとの「差異2学年差」に照らしても、外に出て現地でそうしたレベルと対峙して強化することも間違いなく必要ですが、実は県内で2学年上と対峙する方が手っ取り早くコスパがいい。実質、費用対効果は断然後者に軍配が上がります。その意味で、今年のASPはU13リーグだけでなくすぎっちリーグU15にて中3・中2の選手達と研鑽を重ねられるので非常に素晴らしい経験と言えます。1本裏に抜けられたらそのままGKまで行かれてしまう緊張感と強く・大きく・速い上級生相手に戦う日常は、先々東北・全国の舞台で対峙する相手を想定した貴重な経験。圧倒的レベル差の中で厳しいゲームを重ねられるU15リーグで大きな成長を目指します。

新年度を迎え、ジュニアユースを筆頭に新たに始まる様々なものを取り上げて紹介する機会が多いですが、そんな中、3月末にU12スクールや女子スクール、アカデミーなど多くのスクール生が卒業しました。前法人時代のU9キッズから始まりU12年代を対象とした各スクールが誕生、結果的に6年~7年とこのスクールをご利用頂いたご家庭も少なくないです。アカデミーやU12選抜クラス、セミパ―やU12スクール、女子限定の女子スクールなど、レベル・年代・性別とだいぶ多様になりましたが、それでもまだまだ「豊富な選択肢」と胸を張って言えるレベルではありません。それでも以前に比べて多少の選択が出来る仕組みにはなりました。

スポーツの取り組み方やスポーツに求めるモノはその子・そのご家庭で大きく異なります。多少は他者の影響を受けながら、それまでの考えとは異なる領域に飛び込んで可能性や考え方を広げるのも必要だとは思いますが、例えば我が子のケースを例にとっても、現ASPの女子スクールに通っていますが女子のプロサッカー選手に育って欲しいなど微塵も思ってはいないし、以前通っていたスイミングスクールにしても「オリンピックを目指して頑張れ!」などと思って行かせていたわけでもありません。女子スクールは「パパと一緒に居れるから」と始めたもので、今ではスクールに通う女の子達と会えるのが楽しくて通っています。スイミングスクールも本人が決めていた色の帽子(級)まで到達した後はスパッと退会。むしろ、親のこちらが途中何度も「もう辞めてもいいよ」と促す中で、予定よりも長く続け、休まずしっかり通いきってくれました。競技というレベルには到達せずとも、親としては得たいものをしっかりと得られた満足感がありました。

それぞれのライフサイクルの中でスポーツへの関わり方はご家庭ごとにそれぞれです。通える場所、曜日、時間、経済的な状況や、兄弟の有無やお仕事との絡み。生い立ちからの運動環境に起因するその時点での運動能力や両親のスポーツ経験の有無や情報量など、ご家庭ごとの環境と事情のその中で、ご家庭として許される範囲の中でベターと思われるスクールを探るわけなので、本来は各ご家庭ごと千差万別、無数のオーダーが存在しています。

それを地域に存在する我々スポーツ団体がおおよそ大多数が求めるような設計に寄せてご提案し、マッチしたご家庭に日々ご利用頂いているという状況です。縁あってご入会頂いた事も、その後長く在籍しご利用頂く事も、本当に奇跡的な事であってこうして記念すべき節目の卒業まで一緒にサッカー出来た子ども達については特に感慨深い思いがあります。今後も何らかの形で繋がり続け、その後の活躍を追いかける事が出来たら幸いですしサッカーに限らずあらゆるスポーツで、あるいはスポーツに限らずあらゆる分野で活躍する様を見聞き出来れば嬉しく思います。

外に出て感じる秋田の鎖国感と格差

昔からですが、へそ曲がりというか、あまのじゃくな人間の為「もうダメ、これ以上何も出来ない」という忙しい時ほど、逆らってスケジュールを入れる。また、大変な事・嫌な事などでどうしようか悩んだ時は二人称で考え「困るのは先の自分であって今の自分じゃない」「先の自分がその時に頑張ってくれる」と、決断のハードルを下げて飛び込む。昔からこうしています。海外に行くとか、会社を辞めるとか、何か大変なやつを受講するという類など、こうして決断してきました。

で、今回はライセンスのお話です。まさに今年は過去最も身動きが取れない1年。どう考えてもこれ以上自分からあえて何かを追加などしたくない状況でしたが、そうだったからこそ尚更、この性分が発揮されたのでしょうか。今より1つ上の上位ライセンスを取得する為、ライセンス講習会にエントリーしました。実質は以前から申し込んでいたものの、前回はコロナで開催中止に。そうこうしているたった1~2年の間に自分の取り巻く状況も随分と想像を超えるところに・・・で、この程、無事、受講決定通知が届き「先の自分が頑張るでしょ」と言っていた2人称の向こう側の自分に近づいてきました。焦ります(苦笑)計15日間、23万円+交通費。正直この1年のスケジュールの中から15日もの時間が溶けて無くなるのが本当に厳しい。しかしながら最終的には自分に、今の指導現場に返ってくるものなので必ず還元されプラスになる。残念なのは大阪開催のコースを希望していたのに東北コースに入っていた事。人数でしょうか。調整が入りました。

もう何年前になるでしょうか。JFA公認B級ライセンス取得の際にレッズコースを受講。関東圏の指導者が集まる埼玉開催のレッズコースで圧倒的違和感を放つ「秋田FA:加藤光平」の文字が名簿の一番上で存在感を醸し出していました。 

同コースには元日本代表の山田暢久選手や、トルシエジャパンで活躍した酒井さん、レッズのセンターバックで活躍された田畑さんなど、他にもJでプレーされていた方々が参加。そんな人達ばかりだから3vs3のTRの時など一般人加藤の両脇に元日本代表2人が並び、そこにスルーパスを出せるという贅沢な指導実践の時間もありました。それはさておき、以後、様々な場面でお世話になる成立ゼブラの山田さんもこのB級、小野伸二選手のクリニックもここでお会いした田畑さんが繋げて下さったもの。伸二選手とのクリニックがあったからこそ札幌でのサッカー修学旅行にも繋がっているし、間接的に派生していくものも含め、このB級レッズコース1つ取ってもとても大きいです。東京開催のカンファレンスでたまたま隣の席だったのが宮澤ミシェルさんで、以後大変お世話になっているとか、秋田豊さんもビックサイトの展示会で初めてお会いし、そこからクリニックの開催、加藤家まるごとBBQに呼んで頂いたり、楢﨑正剛選手のクリニックも秋田さんのご紹介。宮本恒靖選手も、自分が参加したJFAスポーツマネジャーズカレッジの同期に宮本さんのマネージャーの樋口さんがいたこと、サッカー修学旅行でセレッソ大阪さんの全面協力(スタジアム、ピッチレベルへの入場、クラブハウス内立ち入り、森島社長と懇談)を頂いたのも、同カレッジでセレッソの清水さんと出会ったこと。これら全て、外に出た事で生まれた奇跡の事例です。人脈ゼロ、それどころか地元秋田で友達1人すらいない加藤ですから(笑えない)

「えい、やー」で安全領域から飛び出すと、やはりそれまでとは違う何かが獲得出来たり、少なくとも自分自身に刺激が入ったり、以後の見える景色が変わったり。自身が変化していく事がスクールの設計であったり指導現場で日々対峙する選手へ何らかの形で提供されていくわけなので、月並みですがやはり指導者が日々成長していかないとダメだろうと思います。なので、あえて「今ムリ」というこのタイミングで「えい、やー」を発動させ、また、ライセンス受講のコースも出来るだけ遠く離れたエリアを希望しました。

 今年の春、類似するスポーツの展示会でスポルテック2022に足を運びましたが、コロナの関係もあり、この1~2年全然足を運べていなかった中、どのくらい人の動きが戻っているのだろうと参加したところ・・驚愕でした。守備一辺倒、ディフェンシブを貫く秋田の遅れ、特に意識の遅れに絶望感を感じて帰ってきました。周りは完全に次のステージへ動き出していて、秋田は根拠のない足の引っ張り合いや矢印を自分自身ではなく他者へ向け、誰も進まない無駄な時間を費やしている中、外の世界は完全に前進していました。

 本誌が配布される頃はちょうどビックサイトでのスポーツビジネス産業展へ足を運んでいる頃です。今回は小武海コーチも道連れ。自分はビックサイトや幕張メッセ開催のこうした展示会・産業展に過去7~8回程行っていますが、振り返るとおそらくここであまり取り上げた事がなかったかもしれません。次号少しこの5月のスポーツビジネス産業展を取り上げてみようと思っています。 

 自分はいつも最低2日半は用意しないと消化出来ないスケールのイベントです。行った事がないという秋田のスポーツ関係の方々に是非足を運んでもらえたらと思いますし興味を持ってもらえるような記事にしたいなと思っています。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました