今号よりスタートした新コーナー『Junior Soccer Team File(ジュニアサッカーチームファイル)』
ASP(秋田スポーツPLUS)が直接チームを訪問取材し、活動を深堀りしてお伝えする
記念すべき第1弾は秋田市保戸野小学校を中心に活動をする『山王ジュニア保戸野サッカースポーツ少年団』をご紹介
ジュニア年代に身につけたいサッカーの素養を重視
「パスを主体としたトレーニングを行うことで技術、戦術ともにトレーニングする事ができる」
山王ジュニア保戸野サッカースポーツ少年団(以下山王ジュニア)では、ボールを保持し、主導権を握りながら戦う事を重視している。ボールを常に自分達の支配下に置くには、ミスの無い技術発揮と、周りの選手のサポートが重要になる。まさに小学生年代で必要なサッカーの基礎的要素だ。
取材当日も、「止める&蹴る」の基礎的なトレーニングを行い、その後にボールを保持しながらゴールを狙うゲーム形式のトレーニングに移行した。トレーニングの中では、指導者によるフリーズ(指導すべき現象が起きた時にその場面でゲームを止めて指導する)により、トレーニング目的を明確に伝える。選手たちはその働きかけに応じてプレーを変化させていく。
「先回りして答えを教えない。常に考えさせ、自分で答えを発見できるように指導している」
と、監督を務める中塚氏。トレーニングの中でも「どこにボールを置いたら蹴りやすいかな?」「どうやったら次のプレーがうまくいくのかな?」と選手に問いかけるコーチングが見られた。もちろん選手たちは日頃から意識しているので、すぐにプレーの質を変えることが出来ていた。
問いかけ方も、「選手たち自身では到底分からない答え」を無理やり探させるものではなく、「この文脈であれば自然とこの答えが導き出される」という発見への流れが作られている。
一方でドリブル突破などの個人技に秀でた選手の特徴も消さないということも重視。軸になる選手に依存するのではなく、軸として据えながらも、調和を取ることで、チームのサッカーの再現性は担保しているのが山王ジュニアの特徴だ。
長期スパンのチーム育成においては学年ごとに段階を経てサッカーの専門性を高めるように設計されている。サッカー理解から始まる低学年に始まり、6年生においては下級生へのアドバイスができるレベルを求める。文書化された明確な指導指針を保護者の方々へ開示しており、自分たちの現在値とこれから目指すべき姿を描けるようになっている。
整理された靴、荷物 「心を整える」
挨拶、荷物整理などのチームの規則も徹底されている。
「サッカーだけをやっていれば良いというものではない」
と指導者陣は声を揃える。人としての部分を育てられないのであれば生涯スポーツを実践する精神的豊かさは得られない。
今回の新型コロナウイルスの影響によりサッカーなどのプロスポーツは改めて遊興の一つであると認識させられた。その遊興に親しむ心を持つのは教養。生涯に渡る人の成長の土台を作っている山王ジュニアの取り組みには、スポーツの本質を感じる
モチベーションをかき立てる仕組み作り
チーム内では練習前に自主トレーニングをする風土が根付いている。この姿も高学年になるほどに自主性を帯びてくる。
チームではリフティングテストも定期的に開催しており、わかりやすい目標設定が可能。目標に向かって努力する習慣を養える。
選手選考基準も明文化されており、リフティングテスト時における努力量もそこに加味される。良くわからないけど努力するのと、明確な目標をもち努力するのとでは大きく違う。こういった努力の素養が、次のステージでは「試合で感じた自分の課題を修正する」という姿へと変わる。
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