運動神経を刺激しスポーツ強者へ
今回の『Junior Soccer Team File(ジュニアサッカーチームファイル)』は秋田市旭川小学校を拠点に活動する『旭川サッカースポーツ少年団』を特集。スポーツ少年団としての強み、活動の意義を軸に子供たちのスポーツ文化の醸成に挑む姿勢をご紹介。
「僕は運動ができる!」運動有能感のある子供に育てる旭川の取り組み
子供の運動能力低下が叫ばれて久しい昨今。幼い頃よりサッカーに触れる環境が整備されてきて、年々競技力は向上している一方で、それ以外のスポーツや運動遊びに触れる機会は減ってきている。
旭川サッカースポーツ少年団では、サッカーだけにとどまらず、より広範な運動動作を取り入れることで、子供たちの運動能力向上へのアプローチを行っている。取材当日も、ボールを使った運動神経へ刺激を入れるトレーニングメニューを行っていた。
「『スポーツ弱者』と呼ばれる子供を作らずに、どんどん強者側へ引き上げていきたい」と三浦団長は語る。小さい土台の上に大きなものは乗らない。
スポーツの素養となる「自分の身体を自在に操る」という基礎的な能力を土台とし、そこにサッカーの専門性を積み上げていく必要がある。近年はサッカーの専門的な情報が簡単に手に入る。身近には触れられないような技術や考え方、トレーニング方法などにもすぐに触れることができるようにはなったが、高まる専門性の裏で「ボールを動かすのは人間の身体である」という本質が忘れられがちである。
「サッカーはサッカーをすることでしか上手くならない」という考え方は確かに事実ではあるが、この小学生年代で早々とサッカーだけに絞ってその子供の可能性の広がりを捨てるのは非常にもったいない。子供達がより選択的に中学、高校で自分のやりたいスポーツをする。そうした生涯スポーツの素養を持つ為に、この年代での運動神経へのアプローチは非常に重要になる。
「挨拶、返事、片付け」明確な指導指針で迷いのない育成環境を構築
旭川スポ少では人間教育においても「挨拶、返事、片付け」という3項目について特に重点的に指導をしている。どのスポーツ指導現場においても、人間性の部分への教育は重要視されているが、その人間性へのアプローチとして3つの項目で分かりやすく子供達へ提示することでより教育が浸透している印象を受けた。
実際、取材で現地に足を運んだ当日も子供達の挨拶は元気が良く、荷物も整理され、受け答えもハッキリとしていた印象を受けた。
第一印象で気持ちの良い関係を築ければその後のコミュニケーションも円滑になる。スポーツ選手以上に人としての良い素養を持つことは大きな武器となる。
多くの人と関わりながら子供達を育てていく
子供たちの成長に関わるのは何も指導者ばかりではない。保護者の中にはサッカー経験者も多く、週末の試合が無い日などは保護者と子供達が共にボールを蹴ることも少なくない。
また、OB選手との関わりが深いのも大きなメリットだ。過去にはドイツでスポーツ指導を学ぶOB選手を連れてきてトレーニングを実施している。
今ここにいる選手の為に、過去に旭川スポ少に関わってきた人達の総力を結集しての育成環境が整っている。こうした積み上げを現在の子供達への指導提供へと結びつけている。生涯に亘ってスポーツに携わる指導者という選択肢も含めた人財を輩出する場としても捉えているようだ。
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